安心院のワイナリーに行ってきました。

実はここ、ずっと前に行ったことがありまして。
でも、今回は前とはまったく別物でした。
というのも、
そのときはただ妻実家への帰省のついでに訪れてみた程度のもので、ワインの試飲すらしなかったんですよね。
もともとワインに触れ始めたのも最近でして、
僕のビジネスの師匠がワインになかなか詳しい方でその方が主催したワーケーションでは必ずと言っていいほど参加者の誰かがワインを差し入れます。
僕も何度かエノテカの店員さんに(おんぶに抱っこで)見繕ってもらって持って行ったことがあります。
そんな感じで社交活動の一環でワインに触れ始めたのが2024年。
ただ、そのときはどんな良いワインを飲んでもその違いがまったくといっていいほどわかりませんでした。
そんなある日、
ボーッと観ていたYouTube番組でとあるワイン講座を知り、「面白い」という興味だけで受講開始したのです。
まだ受講3ヶ月しか経っていないものの、
ぶどう品種の違い、産地の違い、香り、色、苦味など、基礎の基礎の知識を入れるだけでもだいぶワインの輪郭が掴めてきました。
(そうはいっても奥深さは計り知れないわけでほんの外枠がわかっただけ)
それからはブラインドテイスティングの動画を観たり、ソムリエの方のラジオを聴きたり、ワイナリー経営者のエッセイを読んだり、幅広く、能動的にワインへの興味を深めて行ったのです。
いまでは高いワインではないものの、「毎日少なくとも一杯はワインを飲む」というのが習慣になっているほどです。
そんななか、
お盆のタイミングで妻の実家のある九州・大分県に帰省することとなり、直訴して安心院ワイナリー訪問を勝ち取ったわけです。
そして、農園、醸造所、貯蔵庫の見学に加え、20種類以上を試飲した後に自分の舌でワインを選ぶこともできました。
ちなみに僕が受講しているワイン講座はソムリエになるためのものではなく、ワインを楽しみながら世界中を旅するというイメージのもので、1年間でワインを自分の言葉で表現できるようになるというのを公式も目標として掲げています。
そのコンセプトがあっての「自分でワインを選ぶ」という体験はとてもとても素晴らしいものでした。
安心院ワイナリーのある安心院町は宇佐市の別府寄りに位置しています。
妻の実家(別府)からだと30分くらいで着きました。

おしゃれな庭園を進みます。
順路に沿って進むと、
ワインの製造工程が学べる形です。




見学はいろんな方がブログに残してるのでそっちを参考に(僕もかなり読みました)。

園をぐるりと一周し、試飲ができるショップに戻ってきました。

試飲は有料で1人1,000円。
妻には申し訳ないが、今回の帰省の一番の楽しみみたいなものなので遠慮なく行かせてもらいます。

まずはぐるっと一周。お盆とはいえ平日だったからか人は少なく、また課金してまで試飲をする人はごくわずか。
「ええ、せっかく来たんなら飲めばいいのに。もったいない」
だいぶマインドにも変化が出てきたようです。
講座ではまず基本からということで白はシャルドネとソービニョンブラン、赤はピノノワールとカベルネソービニョンという厳選された品種だけを学んでいたので見たことのない品種がたくさんあるのが印象的でした。
そのなかでも小公子、マスカットベーリーA、ビジュノワールなどの国産品種などを味わいながらほぼ全種の試飲を行いました。

ここで気になったのは「アルバリーニョ」という品種です。主にスペインの北西部で栽培される品種で、皮が厚く、暑さや害虫に強いのが特徴でして、日本の気候に合った品種としても注目されているとのこと。

あとアルバリーニョだけは農場の違いが飲み比べできるように「矢津」「大見尾」というふうにラベルが貼られていたんです。
正確には「下毛」を加えた3つの農場でアルバリーニョが栽培されていて、その3本すべてがとなりにある販売所で買えるようになっていました。

農場の違いで別のワインをわざわざ作るって、少なくともこのワイナリーとしては力を入れている商品なんでしょうね。
ちなみに講座の方では同じピノノワールでも温暖産地(イタリア)と冷涼産地(ドイツ)ではこれだけ味わいが変わるよね、ということを学んでいるのですが、まさにそれを身をもって体験できたわけです。
農地のスペックについてはワイナリーのほうに解説がなかったので帰ってから調べました。
が、なかなか出てこない。
なので、ChatGPTに聞いてみました。
わかったこととしては、ざっくり以下の通り。
下毛
→ 低標高 × 南向き
→ 一日を通じて日照を受けやすい
→ 最も温暖・成熟型
矢津
→ 中標高 × 東向き
→ 朝の日照、午後の熱を回避
→ 穏やかな成熟・バランス型
大見尾
→ 高標高 × 東西混在
→ 冷涼さを持ちながら、西向き区画は午後に熱を得る
→ 冷涼さと成熟を両立する複合型
実際、矢津産と大見尾産のアルバリーニョは飲んで別物とわかるくらい違いがハッキリしていて、それでいてどちらにもアルバリーニョ本来の「ミネラル感」みたいなものが現れていて面白かったですね。
結局、一口含んだときに広がる鉄分の感じと最後に伸びる苦味が気に入ったため、大見尾産のものと、極果アルバリーニョという上位グレードのものを買いました。楽しみすぎる。

さて、今回はワインを学び始め、毎日のように飲むようになり、ついにはワイナリーに来ることになったわけですが、このように興味を掘り下げるってすごく大事なことだと思うわけです。
だって、そもそも最初にこのワイナリーに来たときは試飲すらしなかった僕が、今は農場の違いやあまり見ないぶどう品種に気づき、自分でどんどん調べるマインドになっています。
いまは安心院の3つの農場でこれだけ違うのだから他のワイナリーでも飲み比べがしてみたいという思いが湧いてきています。
今回、改めて面白いと思ったのは、インプットによって「見えるもの」が変わったことです。
最初に安心院ワイナリーへ来たときの僕は、ワインにほとんど興味がなく、試飲すらしませんでした。
その後、ワインに触れるようにはなったものの、今度は「何をどう味わえばいいのかわからない」という状態でした。
それが、ほんの少しの知識を入れただけで、農場の違いや珍しい品種に引っかかるようになり、「なぜアルバリーニョだけ農場別なんだろう」「なぜ矢津と大見尾でこれほど味が違うんだろう」と、自分の中に疑問が生まれるようになりました。
本当に何かインプットしたのであれば、それ以前とは何かしら見た方が変わっているはずなんです。
以前なら素通りしていたものに違和感を覚える。
今まで同じに見えていたものの差が見える。
気にならなかったことが気になるようになる。
大事なのは、そこでまた別の情報をただ浴びにいくことではありません。

なぜ自分はそこに違和感を持ったのかを、一度自分の頭で考えること。
今回なら、「同じ品種なのに農場ごとにワインを分けるということは、栽培環境によって味わいが変わるのではないか」と仮説を立てる。
その仮説を持ったうえで、標高や斜面の向きを調べたり、実際の味と照らし合わせたり、すでに同じことを検証している人を探したりする。
すると、
次のインプットはただの情報収集ではなく、自分の仮説を確かめるためのインプットになります。
これはワインに限らず、ビジネスを学ぶときも同じです。
ただ教材を見続けるだけでは、情報が横に増えていくだけです。
インプットする。
その前後で自分に何が変わったかを見る。
生まれた違和感の理由を考察する。
そこで行き着いた仮説を持って行動する。
その行動によって得た新しい具体から、また考えを更新する。
学ぶとは、知識を増やすことではなく、見えるものを変え、問いを生み、仮説を持ってまた次の問いを探し続けることなんだと思います。

そして、もうひとつ。
ワインを知らなかった頃の僕にとって、ワインは「美味しいか、美味しくないか」くらいの世界でした。
でも、知識が少し増えるだけで、品種、産地、気候、畑、造り手といった新しい評価軸が増えていきます。
評価軸が増えれば、今まで同じに見えていたものの中に差が見えるようになる。
逆に、その違いを理解しようとしなければ、「高い/安い」「有名/無名」「人気がある/ない」といった、すでに世の中に用意された尺度で判断するしかありません。
これはビジネスでも同じです。
自分で商品を作ったり、サービスを提供したりするのであれば、その世界の細かな違いを理解し、自分なりの価値尺度を持つ必要がある。
そうでなければ、自分の商品が何によって優れているのかも、他の商品と何が違うのかも、自分の言葉では説明できません。
見えるものが増えるということは、自分なりの価値尺度が増えるということでもあるのです
P.S.
ランチはワイナリー併設のレストランでとりましたが、パスタもピザも本格派。

その後、帰り道にある公園で電動自転車をレンタルしてサイクリング。

良い天気でした。

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